”昭和の東京”を徘徊・幻視し、できたら俳句を作ろう!
PTC(Past is beautiful tuewohiku culbu 過去こそが美しいのじゃと杖を曳く倶楽部)の結成を宣言します。命名者は鈴懸子。
こちらは自転車で回らず徒歩で徘徊します。”昭和の東京めぐり”をシミュレーションしてみると、訪ねた先で酒場に入るでしょう。たとえば銀座のはずれの小料理屋「若松」(小津映画の定番 女将さんは高橋とよ 先客に笠智衆、中村伸郎、北竜二らがいる)、あるいは新宿の「たそがれ酒場」(内田吐夢の好作「たそがれ酒場」の舞台 女給に野添ひとみ、美貌のダンサー津島恵子)。
飲めば酔います。酔えば自転車で帰るのがおっくうになります。自転車で来ていなければ電車やバスで帰れるし、車内でゲロも吐けます。
入会資格
1.”昭和の東京”を幻視する想像力
2.歩くのが嫌いじゃない
3.ヒマだけど好奇心がある
4.一句俳句をつくる
以上
●麦秋に幻影見たり放水路 鉄飛
解題 ”風景の発見者”荷風が盛んに杖を曳いた荒川放水路は、古き映画にもよく登場する。小津「東京物語」(53年 松竹)、五所平之助「煙突の見える場所」(53年 新東宝)、井上和雄「明日をつくる少女」(58年 松竹)などは放水路なくして成立しない。特に「明日をつくる少女」は堀切駅近くのハモニカ工場に勤める若者たち(渡辺文雄、桑野みゆきなど ちなみに工場主=殿山泰司 現場長=伊藤雄之助)の青春を描き、高度経済成長前の放水路界隈の様子を堪能できる。主題歌の歌詞は「悲しい唄 嬉しい唄 たくさん聴いた中で 忘れられぬ一つの唄 それは仕事の唄 この若者よ 前へ進め さあみんな 前へ進め」というもので、その愚かなほどの純粋さに胸が打たれる。愚かなほどの純粋さ――これも私たち現代人が風景とともに失ったものだ。こうした深い感慨、諦念がこの句には込められている。また季題の麦秋は、当然小津の傑作「麦秋」にかけているのだろう。作者の懐の深さを感じさせる一句といえる。
「明日をつくる少女」の中で、現場長でありベテランのハモニカ職人、伊藤雄之助が、同じ職場に勤める息子(給与に不満を抱き仕事に熱が入らない)を叱咤する。「お前は金が欲しくて仕事してんのか? 一人前の職工になりたくて仕事してんのか?」が、そのときのセリフ。一人前(いちにんまえ)も死語となりつつあるが、市場原理主義を盲目的に信奉し勝ち組になろうともがいてきた現代日本人を撃つセリフだ。そうした思想すら背景に感じさせる掲出句は、安直な花鳥風月の描写に停滞しがちな俳句界に警鐘を鳴らしている。鉄飛子の今後に期待したい。
2009年5月16日土曜日
PTC結成
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4 コメント:
> Past is beautiful tuewohiku culbu
=>「パスト イズ ビューティフル 杖を曳く キュルブ?」
英語の辞書も引きましょう。
(-o-)yー゚゚゚
解題、長過ぎ。
●麦秋に幻影見たり放水路 鉄飛
解題 (中略)そうした思想すら背景に感じさせる掲出句は、安直な花鳥風月の描写に停滞しがちな俳句界に警鐘を鳴らしている。鉄飛子の今後に期待したい。
投稿者 鉄飛
・・・・・・哀しい。
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